廃棄物処理分野から“防災・減災”を考える—-

リサイクルトレンドウォッチ(14)

廃棄物処理分野から“防災・減災”を考える—-
環境省が新たな「災害廃棄物対策指針」まとめる。

3月31日、環境省は「東日本大震災で発生したがれきと、津波で運ばれた土砂の処理が福島を除く12道県で終了した」と発表しました。震災では全国で2千万トンのがれき(災害廃棄物)と約1千万トンの津波堆積物が発生しましたが、岩手、宮城、茨城の3県の処理が同日付けで終わり、年度内完了の政府目標を達成したかたちです。
巨大災害時には膨大に発生する災害廃棄物が救援の妨げとなり、その処理の停滞が復旧・復興を大幅に遅らせることになりかねません。そうした事態を避けるために、環境省は同日、東日本大震災など過去の経験を踏まえた上で、都道府県市町村が災害廃棄物処理計画を作成する際の手引きとなる新たな「災害廃棄物対策指針」も発表しています。
指針は、被災自治体と支援自治体、建設・廃棄物関連等民間事業者との連携や、広域的な相互協力体制の整備などに力点を置き、時系列の行動課題を整理するとともに分別・再資源化の推進についても記載。「災害に強い廃棄物処理システムの確保と資源循環への貢献」「大規模広域災害を念頭に置いたバックアップ機能の確保」などにも触れ、いわば「廃棄物処理の視点からの防災・減災」を具体的・総合的に俯瞰した内容となっています。
災害発生時には、廃棄物の仮置き場の確保が復興の進行に影響を与えますが、同省が全国自治体に行ったアンケートでは災害時のがれき置き場を備える自治体はわずか3割にとどまっており、事前対策を早急に進めることが課題となりそうです。
一方で巨大災害時に不可欠な広域処理を進めるためには、情報共有が重要なポイントとなりますが、東日本大震災後につくられた環境省のポータルサイトでは災害廃棄物の 「発生側」と「受け入れ側」の状況がリアルタイムで把握できるようになっています。
いつ起こるかわからない不測の事態に備え、廃棄物の視点からの「防災・減災」を考えていくことは、われわれ関連事業者にも必須の課題といえそうです。

詳しくはこちら☞
災害廃棄物対策指針
http://www.env.go.jp/recycle/waste/disaster/guideline/attach/gl_h25-main.pdf
巨大災害発生時における災害廃棄物対策のグランドデザインについて 中間とりまとめ(案)
http://www.env.go.jp/recycle/waste/disaster/earthquake/conf/conf01-06/mat02_1.pdf
広域処理情報サイト
http://kouikishori.env.go.jp/index.html
災害廃棄物処理情報サイト
http://kouikishori.env.go.jp/saigaihaikibutsu/

南海トラフ地震の廃棄物は東日本大震災の最大11倍—環境省が試算

リサイクルトレンドウォッチ(13)

南海トラフ地震の廃棄物は東日本大震災の最大11倍—環境省が試算

「南海トラフ巨大地震で発生するがれきやごみ、津波による土砂などの災害廃棄物は、最大で東日本大震災の11倍」—環境省による試算が波紋を呼んでいます。
試算は東日本大震災の経験をもとに行われたもので、津波による浸水被害や火災による消失などを加味したがれき・土砂の発生量を試算し、現在のごみ焼却施設と埋め立て処分場の処理能力を前提に計算されています。 南海トラフ地震では駿河湾—紀伊半島が震源となるケースで発生量が最も多く、3億2200万トンのがれき・ごみに加え、2700万トンの津波土砂の処理が必要となり、全国で広域処理しても処理には最長19年4カ月を要すると試算されています。しかし、リサイクルを進めたり、仮設焼却炉を設置した場合は、処理期間を短縮することが可能になります。
東日本大震災では、廃棄物の85%を再利用し、年間150万トンを処理できる仮設焼却炉を設置するなどにより、静岡県から北海道の太平洋沿岸部までを中心とした13道県・239市町村で発生した災害廃棄物約2000万トン、津波堆積物約1000万トンの処理を、3年でほぼ完了。環境省は、「再利用率を増やして埋め立て処分を抑えることが不可欠」としています。
災害がれきは一般ごみと同様、市区町村に処理責任がありますが、同省が昨年度全市町村を対象に行った調査では、処理計画を作成している自治体は約17%。54%は市町村の防災計画でふれているものの、全く作成されていない所も29%にのぼり、市町村レベルでの災害廃棄物対策の指針づくりが急がれています。

☞ 詳しくはこちら
「災害廃棄物等の要処理量の試算と処理施設における処理可能量との比較検討」(環境省)
http://www.env.go.jp/recycle/waste/disaster/earthquake/conf/conf01-05/mat03.pdf

銅市場にねじれ—原料過剰でも地金は不足の状況がつづく

リサイクルトレンドウォッチ(12)

銅市場にねじれ—原料過剰でも地金は不足の状況がつづく

電線やリードフレームなどの原料となる銅。2014年の夏場までは原料である鉱石は余剰になるが、鉱石を製錬してできる地金は不足する…そんな予測が業界では出ています。しわ寄せは電線メーカーや「伸銅品」と呼ぶ銅加工品のメーカーに及びそうな気配です。
国際銅研究会(ICSG)がまとめた13年1~10月の世界の銅鉱石の産出量は1482万トン。一方、鉱石を製錬して作られた地金は1429万8千トンにとどまり、鉱石は約52万トンの供給余剰となっています。前年同期の余剰約5万トンと比較すると、過剰に供給された量は約10倍に膨らんだ計算。モンゴルの鉱山が13年から操業を始めるなどにより供給が増えた反面、フィリピンの製錬所が台風の影響で操業を停止し、鉱石を計画通りに消費できなかったことなどが原料余剰の一因とみられます。
一方で地金は当面は不足する見通し。銅地金の最大の消費国である中国でインフラ関連の銅需要が増加したことなどから、13年1~10月の銅地金の需給バランスは23万トンの供給不足となり、ロンドン金属取引所(LME)指定倉庫の足元の在庫も13年のピークから半減しています。「地金の需給がタイトな状態は続き、LME相場は夏場まで徐々に上昇する」と観測されています。
原料の銅鉱石は余っているが、製錬の処理能力が足りず、地金の供給は需要の伸びに追いつかない――そんな銅市場のねじれは、川下の業界を直撃。地金の価格に割増金(プレミアム)を上乗せする銅市場の取引慣習は需給を敏感に反映し、割増金の上昇が電線や伸銅品メーカーにとってコスト増を招くことが懸念されます。公共事業の増加や消費増税前の駆け込み需要などで、電線や伸銅品の消費は堅調ですが、コスト上昇分の転嫁は容易ではありません。
年の後半には中国で新たに銅の製錬所が稼働するなど、地金の供給も上向くと予測されますが、銅市場の「ねじれ」の解消にはまだ時間がかかりそうで、電線メーカーなどにとっては頭の痛い状況が当面つづくもようです。

「再生」というデザイン—“リクレイム”が、いまアメリカでブーム

リサイクルトレンドウォッチ(11)

「再生」というデザイン—“リクレイム”が、いまアメリカでブーム

大量消費の国、アメリカで、いま“リクレイム”が静かなブームとなっています。
使われなくなったモノを他の形にして利用するのが“リサイクル”だとするなら、“リクレイム”は、廃材をできるだけ本来の状態に戻して、再利用することを指します。
ブームを牽引するのが、リクレイム・ウッドや古い石材を使った建築やインテリア。古い木造の工場や倉庫などに使われていた廃材を、レストラン、ショップ、オフィス、住宅の内装や外壁に効果的に使うものです。数十年から百年以上も前の時代の無垢の木材には、独特の質感・手触り・温もりがあり、経過した時間と使用感が、素材にふたつとないヴィンテージ感を与えています。それらをデザインとして取り入れることで、空間には多彩で新鮮な表情が生まれます。また、古材を使用し現存の木を切らないことは、二酸化炭素の排出削減に参加するグリーン行動の表明にもつながります。
ここ数年、人々のサスティナブル(持続可能)な暮らしや温もりのある田舎風デザインへの関心が高まり、古材を使ったリクレイム・デザイン&リノベーションが、時代の脚光を浴びているわけです。
古材とはいえ、リクレイム・ウッドは決して安価なものではありません。再生を前提に解体するので、重機でやみくもに壊すような事は厳禁。木材だけでなく、再生できそうな窓やドア、石材、鉄等の部材も集めて再利用されます。丁寧に解体され、サイズや種類に分類された後、切断・害虫駆除・釘抜き・ヤスリがけ・機械での削りなど、気の遠くなるような手間をかけ、数ヶ月を費やして元の状態に復元。そうして再利用できる形になったリクレイム・ウッドは、味わいのあるヴィンテージ品として高い価値をもつものに生まれ変わっています。
カエデ、オーク、杉、松、ポプラなどさまざまな色や材質のリクレイム・ウッドを大量にストックし、施主の好みにあわせたデザインで建物のリノベーションや建築を手がける専門家集団、デザインプロジェクトが注目を集め、全米から注文が殺到しているといいます。
リクレイムとは、単なる再利用ではなく、「再生」というデザインであり、いわばひとつのカルチャー。日本でもその魅力に気づいた若く先鋭的なデザイナーたちが、アパレルやインテリア、設計の分野でリクレイムによる創造的な仕事を始めています。

自動車・建設向け需要の堅調で鉄鋼の回復、鮮明に

リサイクルトレンドウォッチ(10)

自動車・建設向け需要の堅調で鉄鋼の回復、鮮明に

日本鉄鋼連盟が19日発表した10月の粗鋼生産量は、前年同月比7.7%増の951万8400トン。円安で輸出が好調だったことや、国内では建築・土木向けが堅調だったことが背景となり、2カ月連続で前年実績を上回りました。
高炉メーカーが手がける転炉鋼が7.7%増の731万7400トンとなり、2カ月連続でプラス。円高の影響や国内の消費増税を前にした駆け込み需要などで自動車生産が好調に推移しています。電炉鋼は7.7%増の220万1000トンで、3カ月連続でプラス。建築向けに加え、自動車の生産が増加したことに伴って自動車部品向けも伸びているようです。
海外勢と比較し、夏頃からいち早く回復基調を見せてきた国内鉄鋼大手。内需に加え、コスト削減や円安が業績回復の追い風になったもようです。円高修正が進むなか、海外からの安価鋼材の輸入は減る傾向にあり、国内鋼材価格の引き下げ圧力を緩和する方向に働いています。JFEスチールはこのほど、建材や自動車などに幅広く使われる薄鋼板の一般流通(店売り)市場向け価格を1トンあたり3000~5000円、5%前後引き上げ。需要の増加を受けて、同社の工場はほぼフル稼働が続いており、2013年度下期(13年10~14年3月)の粗鋼生産量を前年同期比8%増の約1500万トンに引き上げる方針といいます。
一方、世界鉄鋼協会(ワールドスチール)が20日まとめた10月の粗鋼生産量(65カ国・地域)は前年同月比6.6%増の1億3426万トンとなり、14カ月連続で増加。10月としては過去最高となっています。中国が9.2%増の6508万トンと、10カ月連続で6千万トン超の高水準の生産が続いていることが全体を押し上げる格好に。中国のほか、韓国も現代自動車グループの現代製鉄の新高炉建設などを受けて5.2%増の592万トンと9カ月ぶりにプラスに転じました。
低迷が続いたEUも4%増の1470万トンと3カ月連続で増加。米国は好調な自動車販売や住宅着工により8.7%増の739万トンと2カ月連続増となるなど、世界の鉄鋼業界に明るい兆しが見え始めています。

海外マネーも流入、日本の太陽光バブルが本格化?

リサイクルトレンドウォッチ(9)

海外マネーも流入、日本の太陽光バブルが本格化?
割高な太陽光買い取り価格がもたらすひずみがブームの不安材料に…

国内の太陽光発電市場に海外勢が相次いで参入することが、先ごろ大きく新聞報道されました。
豪・米・中などの素材・エネルギー企業や銀行が各地にメガソーラー発電所を建設して電力を供給するもので、総投資額は今後5年で7千億円規模となり、国内の太陽光発電向けの1割弱を占める見通しだそうです。
海外マネーの流入加速の背景には、2012年から始まった再生エネルギー電力の買い取り制度があります。ドイツをお手本に電力会社に太陽光電力(産業用)を全量買い取ることを義務付けたもので、12年度の買い取り価格(20年間固定)は42円/kw。業界が高値と評価する好条件で、異業種の参入が相次ぎました。13年度はパネルの値下がりなどを受け、37.8円/kwに引き下げられましたが、12年度中に駆け込み申請した業者も多く、問題になっています。
2012年度の再生エネルギー全体の新設計画は2109万kw、うち太陽光は2002万kwと9割超を占めています。仮にすべて稼働すれば、11年度までに国内にあった太陽光発電設備(約530万キロワット)が一気に5倍近くに増え、原子力発電所20基分に匹敵する数字ですが、実際12年度内に運転開始したのは計画の1割に満たない197.5万kw。所有権のない土地で認定を取得し売電の権利を転売しようとした事例もあるようで、経産省が実態調査を始めています。
米調査会社によると、日本の太陽光発電市場は投資額ベースで12年比8割増の200億ドル(約1兆9700億円)。世界シェアは24%で再生エネルギー大国のドイツを抜いて首位に立ち、海外勢の投資がさらに市場を約1割押し上げる、との見通し。明らかに“太陽光バブル”といえる状況が
日本で起きているのはまちがいなさそうです。
再生エネルギーのなかでも設置コストが高い太陽光発電に、国が補助制度を設けて普及を加速させ、コスト低減を図ることが買い取り制度の趣旨。その買い取り価格は、最も高い家庭用電気料金をも上回るため、差額は広く一般家庭などが負担しています。
再生可能エネルギーの普及促進と、買い取り制度による投資の集中、混乱、という状況は、スペインやドイツ、イギリスなどでも起きています。果たして日本の“太陽光バブル”の行方はどうなるのか…当面、目が離せない問題となりそうです。

パナソニックが自社の使用済み家電からの鉄スクラップ再利用を開始

リサイクルトレンドウォッチ(8)

パナソニックが自社の使用済み家電からの鉄スクラップ再利用を開始
東京製鐵と提携し、資源循環のしくみを構築

パナソニックは東京製鐵と組み、自社の使用済み家電から生じる鉄スクラップを電炉鋼板に加工した上で再調達し、他の製品の材料とする「資源循環取引スキーム」を共同で開始しました。
スキームの流れは、①同社グループのパナソニックエコテクノロジーセンター(兵庫県)が使用済み家電製品を回収・処理して鉄スクラップを収集 ②東京製鐵が引き渡された鉄スクラップを電炉鋼板に加工 ③パナソニックグループが加工後の電炉鋼板を調達・使用、というもの。
すでにこの仕組みを利用して、パナホームが2013年7月から電炉鋼板を建築用天井材などに使用し始めているそうです。リサイクルはまず、月50トン規模から開始し、2013年度内を目処に月100トン(年間1200トン)に増量。今後は住宅用建材から洗濯機や照明器具、産業機械用などに使用製品が順次拡大される予定です。
パナソニックのリサイクル材の使用率はこれまで鉄で2%程度で、市場に出回る鉄スクラップを使用していました。一方、同社が日本全国で回収する廃家電からの鉄は、エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機の4品目で年間約5万トンと、大きな潜在的ポテンシャルをもっています。
同社では従来から東京製鐵の鋼材を使ってきましたが、素材となる鉄スクラップは市場調達によるもので市況変動の影響を受けていました。新スキームでは、従来と比較して原料調達費を最大で3割削減でき、資源の有効活用と同時に価格競争の激しい家電業界で生産コスト低減につなげるねらい。
この新たな協業のしくみは、伝統的に高炉の粗鋼生産量が多く、海外に比べて鉄スクラップからの電炉鋼材の割合が少なかった日本の鉄関連業界に、大きな一石を投じるものとして注目されています。

鉄スクラップによる“Car to Car”実現に大きな第一歩?

リサイクルトレンドウォッチ(7)

鉄スクラップによる“Car to Car”実現に大きな第一歩?
環境省、電炉で高炉品質の自動車用鋼板試作に成功

環境省は、平成24年度から実施している「鉄スクラップの高度利用化実証事業」において、鉄スクラップを原料に電炉で高炉並みの品質をもつ自動車用高張力鋼板を試作することに、国内で初めて成功したと発表しました。
鉄においては、鉄鋼生産時に発生する加工スクラップや、自動車などの使用済み製品から回収される老廃スクラップが再び鉄鋼生産へとリサイクルする循環システムが構築されており、現在、国内で年間に製造される鉄鋼製品の原料約1億3千万トンのうち、約5千万トンが鉄スクラップ由来の原料となっています。しかし、鉄スクラップ原料による鉄鋼製品は、主に種々の合金元素を添加した特殊鋼や、建設用建材に用いられ、自動車や家電製品用の鋼板は天然資源の鉄鉱石を主原料に生産されています。
環境省の同事業は、自動車の構造用鋼板などに鉄スクラップを用いることができれば、貴重な国内資源である鉄スクラップの利用用途拡大につながるほか、鉄スクラップに含まれるレアメタル等の有効活用、CO2排出削減、使用済み自動車から回収した鉄スクラップで再び自動車を製造する(Car to Car)水平リサイクルの実現、高張力鋼板の低コスト化等につながることなどを視野に入れ、実施されているものです。
今回の実証は、委託実施事業者である東京製鐵の電炉に鉄スクラップ150トンを投入して鋼板を試作。溶接性評価した試作鋼板を試験片として引張試験等を行った結果、高炉で製造した場合と同等の強度―伸びのバランスを持った鋼板であることがわかりました。原料の50%を、市中スクラップより成分の安定した自動車工場からの鉄スクラップ(新断)としたことも試作成功の要因になったとされます。
軽薄性、成形性、車体衝突時の耐久性など高い性能を求められる自動車の構造用高張力鋼板を、100%鉄スクラップ原料から試作することに成功した今回の快挙。使用済み自動車の鉄スクラップから、自動車ボディーをつくるのが当たり前になる日も、遠からず訪れることになるのかもしれません。

☞ 詳しい情報はこちら
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=16583
http://www.env.go.jp/recycle/car/pdfs/h24_report03_mat01.pdf

世界最大手の繊維リサイクル会社(スイス)が日本に進出

リサイクルトレンドウォッチ(6)

世界最大手の繊維リサイクル会社(スイス)が日本に進出

世界最大級の繊維リサイクル企業「ソエックスグループ」(スイス)傘下の「アイコレクト」社(スイス)が、日本市場に進出しました。
アイコレクトは、欧州や北米を中心に古着リサイクルを展開。スウェーデンのH&Mなどの小売業と組み、世界56ヵ国で6800店に回収ボックスを設置しています。回収した古着や靴は、世界にあるソエックスグループの工場で分類され、再商品化したり、“コットンtoコットン”のように繊維原料としてきめ細かくリサイクルするなど、循環体制が構築されています。リサイクル製品は自動車の断熱材やフロアマットなどにも利用され、メルセデスベンツやBMWにも採用されているそうです。
店頭に古着を持ち込んだ利用客には、小売店から割引券を発行。回収率を高めると同時に、リピート購入を促す、WIN-WINのしくみです。
先ごろ設立された日本法人の「アイコジャパン」では、全国3万店舗への回収ボックス設置を目標に、百貨店やスーパーなどと提携交渉を進めています。すでにボックスを設置した「H&M」29店舗では、3ヵ月で40トン以上の回収があったとか。1日250トン以上の回収量が確保できれば、岩手県にリサイクル工場を建設する予定で、「ドイツで70%以上、アメリカで25%以上と比較して10%未満の低いリサイクル率にとどまる“衣類リサイクル後進国”日本で、今後は回収ボックスを常識にしていきたい」と、同社トップは語っています。

高炉のCO2を水にする…鉄鋼業界のグリーンイノベーション

リサイクルトレンドウォッチ(5)

高炉のCO2を水にする…鉄鋼業界のグリーンイノベーション

深刻化する地球温暖化。国内で業種別のCO2排出量が最も多いのは鉄鋼業界で、全製造業の約40%、日本全体を見ても約15%を占めます。その排出量を2050年までに30%削減することをめざして、鉄鋼大手と日本鉄鋼連盟が取り組んでいる「革新的製鉄プロセス技術開発(COURSE50)」(NEDO委託事業)のプロジェクトが、着々と進行。新たな実証研究のステージに入っています。
鉄は酸化鉄として存在する鉄鉱石から酸素を除去(還元)することによりつくられます。通常の高炉製鉄法では鉄の還元に、石炭を蒸し焼きにしたコークスを利用。その過程で鉄の生産量に比例して必然的にCO2ガスが発生するため、CO2排出は“近代製鉄の宿命”とされてきました。
このコークスに代えて、一部水素を用いて鉄鉱石の還元を行うのが「COURSE50」プロジェクトの研究の目玉。「水素還元」では酸素が炭素ではなく水素と結びつくため、H2Oが発生するだけでCO2は発生しません。製鉄プロセスでのCO2排出量を削減する“夢の還元法”ともいえます。
すでに2008年度から5年をかけて進めてきた要素技術開発(第1ステップ)で、一定の成果を確認。日本鉄鋼連盟などは去る8月6日、2015年度までに新日鉄住金の君津製鉄所(千葉県君津市)に10立方メートル規模の試験高炉を建設し、第1ステップの要素技術の総合的な実証実験を行うと発表しました。プロジェクトは、2050年までに現在28ヵ所ある国内の高炉すべてに水素還元を普及させることをめざしています。
かつて1960~70年代に生産性の高い連続鋳造技術を一気に普及させることで、欧米勢を凌駕した日本の鉄鋼業界。官民をあげて進める新たなグリーンイノベーションが、鉄の国際的な競争環境を再び一変させることになるかもしれません。

日本鉄鋼連盟 「COURSE50プロジェクト」の概要はこちら ☞
http://www.jisf.or.jp/course50/