国内環境産業の市場規模、初の100兆円に

リサイクルトレンドウォッチ(47)

国内環境産業の市場規模、初の100兆円に
廃棄物処理・資源有効利用の市場規模は45.8兆円、経済波及効果は91.1兆円に

GDPが低迷するなかで、廃棄物処理・リサイクルや温暖化防止などの環境関連市場が伸長し、国内経済において存在感を増していることが環境省のデータから明らかになりました。
環境省がこのほど発表した推計によれば、2014年の国内の環境関連産業の市場規模は約105兆4133億円(前年比1.3%増)で、統計をとり始めた2000年以降初めて100兆円規模に達しました。市場規模は2000年の58兆円と比べると約2倍に拡大しており、雇用者数も約256万人と過去最多になっています。
分野別にみると、最も市場規模が大きかった「廃棄物処理・資源有効利用」が約45.8兆円。次いで太陽光・風力発電などの再生エネや省エネ機器、自動車の低燃費化などを含む「地球温暖化対策」が約37.7兆円、化学物質汚染防止や下水・排水処理などの「環境汚染防止」が13.6兆円、「自然環境保全」が8.2兆円となっています。
全産業に占める環境産業の市場規模の割合は、2000年の6.2%から2014年の11.1%まで増加し、環境産業が日本の経済成長に与える影響は大きくなっている、としています。
環境産業の付加価値額(企業等の生産活動によって新たに生み出された価値)の推計は、42.4兆円で、うち「廃棄物処理・資源有効利用」が22.4兆円と最大を占め、「地球温暖化対策」が11.3兆円でこれに続いています。全産業の付加価値額(GDP)が横ばい傾向にあるなか、環境産業の付加価値額は景気減速の影響を受けた2009年を除き、概ね増加傾向に。GDPに占める環境産業の付加価値額の割合は、2000年の5.5%から2014年の8.7%にまで増加しており、付加価値額の面においても、環境産業が我が国の経済成長に与える影響が大きくなっている、としています。

☞ 環境産業の市場規模等の推計結果概要(環境省・2014年度版)はこちら
http://www.env.go.jp/policy/keizai_portal/B_industry/1-3.suikei.pdf

金・銀を含む鉱石を海底で養殖??

リサイクルトレンドウォッチ(46)

金・銀を含む鉱石を海底で養殖??
海洋開発機構、「人工熱水噴出孔を利用した黒鉱養殖プロジェクト」を本格化

「熱水」と呼ばれる海底の火山活動を利用して金や銅などの金属を「人工的に養殖」しよう、という研究が進んでいます。研究は海洋研究開発機構(国立研究開発法人)と、東京大学・九州大学・東北大学・早稲田大学との共同プロジェクトよるものです。
日本は世界第6位の広さの排他的経済水域をもっています。近海には石油代替エネルギー資源として期待されるメタンハイドレードやマンガン団塊、レアメタルを含む泥などが見つかり、今後の開発が期待されています。プロジェクトは、そうした資源のひとつとして、海底から噴き出す熱水が作る「チムニー」に注目したもの。チムニーはアリ塚のような形状をしていて、銅や金、亜鉛などの有用金属を多く含みます。ちょうど温泉の湯の花が固まったようなイメージといえるでしょうか。
2010年に地球深部探査船「ちきゅう」により、沖縄トラフの熱水活動域で掘削調査が行われ、これにより複数の人工熱水噴出孔が形成されました。その後の無人探査機による潜航調査などから、この熱水噴出孔上でチムニーが1年で約7メートルと、急速に成長していることが判明。試料採取分析などの結果、沖縄沖のチムニーは亜鉛をはじめ銅、金、銀などの金属を多く含み、秋田県の山間部などで採掘されていた「黒鉱」と呼ばれる鉱石に成分が近いこと、しかも濃度は陸上黒鉱鉱床の高品位鉱石に匹敵するかそれ以上のものであることがわかりました。
共同研究グループは、人工熱水噴出孔上に硫化鉱物に富む高品位のチムニーが急成長したメカニズムを利用して、黒鉱鉱石を養殖するプロジェクトに本格的に着手。 2016年2月、海洋調査船「ちきゅう」から沖縄トラフの熱水サイトに長期間モニターのための「黒鉱養殖装置」を投入し、実験を行っています。
これまで、自然に成長したチムニーから採れた鉱石は1年で約40トン。鉱山として操業するには1日1000トン程度の規模が求められるそうです。沖縄沖の実験装置は12月に回収してデータ分析を行う予定とか。資源に恵まれない日本で、これから進められようとしている「鉱石の海底養殖」。夢のあるチャレンジを、静かに応援したいと思います。

本プロジェクトに関する海洋研究開発機構の報道資料はこちら☞
http://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20160225_2/

国交省、コンテナ船で熊本地震の災害廃棄物を広域海上輸送

リサイクルトレンドウォッチ(45)

国交省、コンテナ船で熊本地震の災害廃棄物を広域海上輸送
最大130万トン、中越地震の2倍の災害ごみ処理が課題に

国土交通省は平成28年熊本地震に伴う災害廃棄物について、熊本港からコンテナ船を活用した広域海上輸送を6月13日より実施していると、21日に発表しました。
熊本地震による災害廃棄物は、環境省によると大分県分を含めて100万~130万トンにのぼります。2004年の新潟県中越地震(60万トン)と比べても2倍程度に達し、11年の東日本大震災(2000万トン)、1995年の阪神大震災(1500万トン)に次ぐ量となる見通しです。熊本県は2年以内に処理を終える方針を固め、可能な限りリサイクルと減量化を図り、埋め立て処分量を減らしたいとしています。
各市町村が主体となって一般廃棄物処理施設や民間の産業廃棄物処理施設を活用して処理が行われますが、作業を加速するため県や環境省が調整に入り、県外の処理施設を利用する広域処理も視野に検討が行われてきました。
災害廃棄物の早期処理には、域内での処理に加え、状況に応じた広域処理が不可欠。過去には東日本大震災や平成27年関東・東北豪雨の際に、コンテナ船を活用して災害廃棄物の広域海上輸送が行われています。今回の地震では、災害廃棄物を熊本港から大阪港に海上輸送し、三重県の廃棄物処理施設に陸送する計画で、2船(積載可能コンテナ数72 TEU)を使用して、週3日の頻度で約2ヶ月輸送が行われるもようです。
災害廃棄物は、M7級首都直下地震では1.1億トン、M9級南海トラフの巨大地震では最大3.5億トンになると見込まれ、南海トラフ巨大地震の場合、被災地だけで処理すると6~20年の歳月がかかるとされています。東日本大震災後、環境省は地域の災害廃棄物対策を強化するため、北海道から九州まで全国を8つに分けた地域ブロック協議会を立ち上げました。
また、昨年9月には環境省が音頭をとり関連学会や業界団体が参加する「災害廃棄物処理支援ネットワーク」が発足。今回の熊本地震でも、神戸市や広島市が相次いでごみ収集車を派遣するなど、「遠隔地の自治体の支援を仰ぐ橋渡しにネットワークが役立った(環境省)」といいます。いつ起こるかわからない大規模自然災害に備え、平時からの取り組みがますます重要になっていることを痛感します。

国交省 熊本地震災害廃棄物・広域海上輸送についてはこちら☞
http://www.mlit.go.jp/report/press/port06_hh_000129.html
全国の災害廃棄物対策地域ブロックについてはこちら ☞
http://kouikishori.env.go.jp/action/regional_blocks/

廃棄物リスク事例—ダイコー廃棄食品横流し事件のその後

リサイクルトレンドウォッチ(44)

廃棄物リスク事例—ダイコー廃棄食品横流し事件のその後
「処理困難通知」を受け取った委託企業の困惑

今年1月、愛知県の産業廃棄物処理業者のダイコーが廃棄食品を不正に横流しするという前代未聞の事件が発覚しました。壱番屋の廃棄冷凍ビーフカツの流出を発端に、横流し事例が続々と明るみに出て、排出事業者として大手食品メーカーや流通企業の名前が次々と挙がるなど、社会に大きな衝撃を与えました。
数ヵ月を経て一般的なマスコミ報道は少なくなったものの、業界内部では事件が尾を引き、波紋はいまも広がり続けています。
愛知・岐阜・三重の3県にまたがるダイコーの工場や倉庫に残されている廃棄物の量は、約1万5000㎥にのぼると推定されます(愛知県、岐阜県、三重県の廃棄物担当課による推定の合計)。県内に推定8900㎥の廃棄食品がある愛知県は、2月29日、ダイコーに対して「廃棄物処理法で定められた上限を超える保管」などの違反にあたるとして、行政処分の改善命令を出しました。ところがこれを受けてダイコーは3月3日、同社に処理を委託していた52の取引企業(排出事業者)に「処理困難通知」を送付しました。
「処理困難通知」とは、2011年施行の改正廃棄物処理法に盛り込まれた制度で、倒産などで事業を継続できなくなった産廃業者が排出事業者に通知するもの。この通知を受け取った排出事業者には、産廃業者に代わって環境保全上の措置を講ずる義務が生じます。今回の場合、事実上倒産しているダイコーに代わって、処理を委託していた取引企業(排出事業者)が、自らの負担で廃棄食品の悪臭や飛散防止の措置を講じ、保管場所から撤去し、処分を進めなければなりません。
排出事業者による自主回収はすでに始まっているものの回収量は少なく、最も進んでいる愛知県でも4月時点での回収量は、排出事業者20社・124トンにすぎないとのこと。残された大量の廃棄食品は焼却処分するしかありませんが、腐敗による運搬の困難や、塩分含有食品の焼却の困難などで「処分費用は1トンあたり3-4万円に及ぶのでは」と見積もる元産廃Gメンも・・・
愛知県は「今のところ排出事業者に対して報告徴収や措置命令などの行政処分を下す予定はない」としていますが、処理困難通知を受け取った排出事業者に回収を急がせています。悪臭など周辺への環境被害が深刻化すれば行政が代執行により回収を行う可能性もあり、その場合、一旦税金などで賄われる処理費用は、最終的には排出事業者に請求されます。社名公表による企業イメージの悪化や撤去費用の負担など、排出事業者が受けるダメージは測り知れないものとなります。
『日経エコロジー』がダイコーと取引のあった排出事業者を対象に実施したアンケートによれば、回答企業の多くがダイコーを委託先に選んだ理由として「食品リサイクル法の登録再生利用事業者だった」ことを挙げています。改正廃棄物処理法で努力義務とされた処理状況の現地確認を実施していた委託企業も多かったものの、取引先の目を欺くダイコーの悪質な手口に、廃棄食品の横流しを見抜くことはできなかったようです。
廃棄物処理事業者のコンプライアンスが何よりも問われていることはまぎれもない事実であり、われわれ業界は襟を正さなければなりませんが、委託企業側にも「登録事業者だから」「マニフェスト(産業廃棄物管理票)が返送されていたから」だけでは、不適正処理に巻き込まれる可能性を排除できないことを知っていただくことが必要です。
「廃棄物リスク」から事業活動を守るためにも、廃棄物管理の徹底がいまや企業の最重要課題のひとつであることに、留意いただければと考えます。

※本稿は「日経エコロジー2016年6月号」をもとに構成しました。

PCB特措法改正案が閣議決定– 2024年3月までのPCB全廃へ

リサイクルトレンドウォッチ(43)

PCB特措法改正案が閣議決定– 2024年3月までのPCB全廃へ
使用中のPCB含有機器は23年度末までに専門業者への委託処理を義務づけ

国内最大規模の食品公害「カネミ油症事件」の原因物質となった「ポリ塩化ビフェニール(PCB)」を高濃度で含む製品について、所有者に遅くとも2023年3月末までに専門会社への処理委託を義務づける(2024年3月末までの処理完了目標)特別措置法改正案が3月1日、閣議決定されました。今国会に提出され、今後は都道府県による監視が強化されることになります。
PCBは、化学的に安定した物質で、耐熱性、絶縁性や非水溶性など優れた性質を持っていたため、かつては変圧器やコンデンサ・安定器などの電気機器用絶縁油や感圧紙、塗料、印刷インキの溶剤などに、幅広く利用されました。しかし、生体内に取り込まれやすく残留毒性が高いため、体内に多く蓄積すると健康被害をもたらします。食用油へのPCB混入により多くの被害者が出た1968年のカネミ油症事件を受け、1973年にはPCBの製造が禁止され、使用も中止されました。
しかし、コンデンサなどPCBが密閉された状態にある製品については、使用が禁止されなかったため、現在もなお使用されているケースがあります。PCBが高濃度に含まれる製品には、高圧トランス、高圧コンデンサ、業務用蛍光灯の安定器などがあります。製造中止から30年にわたる長期保管により紛失や漏洩が懸念されることから、2001年にはPCB廃棄物の保管の届出や適性処理について定めた「PCB廃棄物「PCB廃棄物適正処理推進特別措置法」が制定されました。
今回の改正案は、5000PPMを超える高濃度PCBを含む機器について、自治体に報告するとともに遅くとも2023年3月末までに専門会社への処理委託を行うことを、所有者に義務づけています。
注意しなければならないのは、古い建物などの解体時に、有害物質のPCBを含むトランス、コンデンサ、蛍光灯安定器などが残されている可能性があることです。PCBを含む廃電気機器・廃油は普通の産業廃棄物とは異なる「特別管理産業廃棄物」になります。次の世代の環境安全を脅かすことがないよう、厳重な管理・処分を行うことが、事業者に求められています。

☞PCBについての基礎知識はこちら・JESCOホームページ
http://www.jesconet.co.jp/business/PCB/pcb_04.html
☞PCB含有製品についての産業廃棄物適正処理推進センターのチラシ
https://www.env.go.jp/recycle/poly/pcb-pamph/full5.pdf

「ご不要になった家電、引き取ります」–違法回収にご注意!!

リサイクルトレンドウォッチ(42)

「ご不要になった家電、引き取ります」–違法回収にご注意!!
鉄リ工業会中四国支部が“違法回収業者対策”のシンポジウム開催—官民の210名が参加

「ご家庭でご不要になった、テレビ、エアコン、洗濯機、冷蔵庫…」と、スピーカーで喧伝しながら戸別回収してまわる軽トラック。「無料回収・お持込OK!」といった看板やノボリを立て廃家電などの持ち込みを促す拠点型不用品回収。いずれも全国で見られる日常風景ですが…そのほとんどが無資格業者による違法回収であることを、ご存じでしょうか?
そもそも「テレビ、エアコン、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・乾燥機」の4品目は、家電リサイクル法にのっとって正規ルートで処分することが定められています。しかし、環境省が自治体を対象に実施した、「不用品回収業者の活動実態」の調査によれば、全国の約6割の市区町村で不用品回収業者の存在が確認され、そのうちの33%で苦情・トラブルが発生しています。
環境省は、こうした違法回収による問題点は、回収された廃家電等の一部において ①処理廃棄物処理基準に沿ったフロン回収や鉛・その他有害物質の適正な処理が行われていないこと ②不法投棄が行われ地域環境を汚染していること ③海外へ輸出され、輸出の相手国や第三国を経由した再輸出先で不適正処分による環境汚染・健康被害を引き起こしていること にあると分析しています。また、こうした違法ルートによる無料回収や低料金回収が横行することで、本来の適法ルートでの処理との間に不公平感が生じ、家電リサイクル法そのものが形骸化する恐れがある、とも指摘しています。
こうした現状を踏まえて、日本鉄リサイクル工業会中四国支部は、岡山市において2月15日、中国地方の自治体関係者、工業会会員など210名の参加を得て「違法回収業者対策についての勉強会」を開催しました。当日は、環境省企画課リサイクル推進室室長補佐・川崎直也氏の基調講演「違法な廃棄物回収業者の指導・取締について」に続き、早稲田大学環境総合研究センター招聘研究員の中島賢一氏をコーディネーターに、「地域リサイクルの在り方—鳥取県条例を踏まえて」をテーマに川崎氏ならびに、鳥取県生活環境部循環型社会推進課、広島県環境県民局循環型社会課の担当官と、鉄リ工業会メンバー社によるシンポジウムを行なって課題の整理と意識の共有を図りました。

☞違法回収の問題点と正しい家電リサイクルについての環境省の動画はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=4vQTE1rqhx0
☞違法回収に関する環境省の警告チラシはこちら
https://www.env.go.jp/recycle/kaden/tv-recycle/attach/ad_tool26-01.pdf

「水銀に関する水俣条約」、日本も締結国に

リサイクルトレンドウォッチ(41)

「水銀に関する水俣条約」、日本も締結国に
蛍光管・体温計・ボタン電池など水銀含有製品の回収は?

2月3日、日本は水俣病の原因となった水銀を国際的に規制する「水銀に関する水俣条約」を締結しました。この条約は、水銀による健康被害を防ぐためにその使用や取引を規制し、国際的に管理しようとするもので、2013年に熊本県で開かれた国連の会議で採択され、日本を含む97ヵ国が署名しています。
日本は世界で23ヵ国目の締結国となったもようで、50ヵ国が締結後90日目の発効が定められた同条約は、年内にも発効する可能性が高いとされています。
条約では、水銀鉱山の新たな開発を禁止。輸出も制限されます。化粧品や温度計などの水銀添加製品は、原則として2020年以降の製造や輸出入が禁止されることに。また火力発電所などからの水銀排出への対策や、水銀廃棄物の適切処理が求められます。途上国では小規模な金採掘で精製に水銀を使うことが問題となっており、これをなくすように努めるとしています。
これまでにも、水銀の移動・処分・取引を定めた「バーゼル条約」と「ロッテルダム条約」が存在しましたが、水銀のライフサイクル全体にわたる規制は「水俣条約」が初めてのものです。
日本では条約締結に先立つ昨年6月、蛍光灯など水銀添加製品の製造を原則禁じる法律が国会で成立しています。この水銀製品禁止法は「水銀が適正に保管されるようルールを定め、事業者に国への定期報告を義務づける。水銀の採掘や、水銀を使った金の採取も禁止する。廃棄時の分別・回収を促すため、水銀が含まれる製品は本体や説明書に表示するよう製造業者に努力義務を課す」というもの。今後は、生産活動における環境対策の実施や、廃金属水銀・水銀添加廃製品に関する管理・処分の規制、基準の強化が進むものと思われます。
一方で、水銀体温計、血圧計、蛍光管、ボタン電池など、私たちの身の回りには多くの水銀含有製品が出回っていますが、有害廃棄物として適正に回収・処理されているものはまだ少なく、不燃ごみや可燃ごみに分類されて埋立・焼却処分している自治体が多数あることが環境省の実態調査でもわかっています。
日本の提案により名称が定められた「水俣条約」。有害な水銀の適正な分類・回収・処分の推進のためにも、まずは正しい知識の普及に私たちも努めていきたいと考えます。

☞水銀に関する国内外の状況についてはこちら
https://www.env.go.jp/council/05hoken/y0512-01b/mat03.pdf

2050年には海のブラゴミの量が魚を上回る?

リサイクルトレンドウォッチ(40)

2050年には海のブラゴミの量が魚を上回る?
“プラスチックのスープ”ともいわれる海洋汚染の実態

ダボス会議の名称で知られる「世界経済フォーラム」(本部ジュネーブ)が、「世界の海に漂うプラスチックごみの量が今後も増え続け、2050年までに重量換算で魚の量を超える」と予測する報告書を今月、発表しました。報告書によると、世界のプラスチックの生産量は1964年の1500万トンから2014年の3億1100万トンへと50年で20倍以上に急増。今後20年間でさらに倍増するとみられています。毎年少なくとも800万トン分のプラスチックが海に流出。このまま対策を取らなければ、50年までには海のプラスチックの量が魚を上回る計算になる、としています。
プラスチック容器のリサイクル率はわずか14%。紙の58%や鉄鋼の70~90%を大幅に下回っており、報告書はプラスチックのリサイクルを促進し、海など自然界への流出を防ぐ対策の強化が急務だと指摘しています。
今や海は“プラスチックのスープ”ともいわれるほど、深刻な汚染状態にあります。最近では、細かく砕けたプラスチック粒子が海を漂う「マイクロプラスチック」も新たな環境問題として注目を集めています。
漂流・漂着ゴミの70%を占めるプラスチックごみは紫外線や大きな温度差により劣化し、波に洗われて次第に細片化しますが、このうちサイズが5mm以下のものは「マイクロプラスチック」と呼ばれ、世界各地の海域で数百μmから1㎜程度の大きさのマイクロプラスチックの浮遊が確認されています。これらの微細片は動物プランクトンと同程度の大きさであるため魚類が誤食しやすく、魚が微粒子を取り込むことで食物連鎖による有害物質の濃縮につながることも懸念されます。
環境省や気象庁もマイクロプラスチックに係る調査を始めており、今後、その実態が徐々に明らかになっていくものと思われます。

☞環境省の漂流・海底ごみ実態調査についてはこちら
https://www.env.go.jp/press/files/jp/26885.pdf
https://www.env.go.jp/press/100893.html

地球温暖化と難民問題—COP21の水面下に

リサイクルトレンドウォッチ(39)

地球温暖化と難民問題—COP21の水面下に
アフリカ・中東の難民急増の背景には温暖化の環境要因

12月12日、パリで開催されていた第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で、2020年以降の温暖化対策の新たな枠組み「パリ協定」が採択されました。新しい国際ルールは18年前の「京都議定書」以来。条約に加盟する全196ヵ国・地域が温室効果ガスの削減に参加する枠組みはこれが史上初めてで、世界の温暖化防止対策は新たなステージに入ったことになります。
COP21は、パリの同時テロからわずか2週間あまりの開催ということもあり、冒頭、議長国フランスのオランド大統領は「我々はテロと地球温暖化という2つの戦いに打ち勝たねばならない」と表明しました。地球温暖化とテロ、一見かけ離れた二つの事象には、実は深いつながりがあると思えてなりません。
Center for Science and Policyは、科学者、政策アナリスト、財政・軍事リスク専門家など世界11ヵ国・40人以上の専門家による諮問報告書「気候変動:リスク評価」を発表しています。それによれば、地球温暖化が進むと、農業地や緑地が減少して砂漠化がさらに顕在化。優良な土地と水資源をめぐる争いが起こり、難民や移民の増大、内戦やテロなどが起きやすい状況がつくられる。特に中東やアフリカなど、政情不安定な地域では、その可能性が高い、としています。
アニエス・シナイは「気候変動が紛争を増大させる」(世界11月号)で、2006年から11年にかけ干ばつに襲われたてシリアでは、2200万人の人口のうち150万人がその影響を受けた。困窮した農家と牧畜業者が大量の移民となって都市に向かい、これが政治的不安定の淵源となった。また、2010年から11年に中国東部での降水不足から中国政府が小麦の大量輸入に踏み切ったことが小麦の国際価格暴騰を招き、これが同じく大干ばつに見舞われていた東アフリカ地域での食糧価格の高騰につながって民衆の広範な不満を呼び、ムバラク政権倒壊やシリア内戦の一因となった—と指摘しています。
科学誌「ネイチャー」の論文には、南半球でエルニーニョ現象が起きているときには、世界で内戦が起こる可能性が2倍になる、との指摘もあります。
地域紛争の頻発や迫害により出国を余儀なくされている難民は世界で1590万人とも2000万人ともいわれますが、これらの人々のうち環境が破壊されたことによって居住地を離れなければならなくなった人々は「環境難民」と呼ばれています。1998年の世界銀行の推計によれば、環境の悪化による国内及び国際的な人口移動は約2500万人に達し、紛争に起因する難民の数を超えた、とされています。地球温暖化による海面上昇や、大気汚染、干ばつ、土壌劣化などから、今後さらに大量の環境難民が発生する可能性は残念ながら否定できないでしょう。
2015年、世界を震撼させた2つのテロ事件の舞台となったパリで採択されたCOP21パリ協定。“持続可能な地球環境と社会”を探っていくことの難しさを、深く考えさせられる年末のトピックでした。

リユースでクラウドファウンディング

リサイクルトレンドウォッチ(38)

リユースでクラウドファウンディング
ヤフーと電通が新サービスを開始

最近、よく見聞きする“クラウドファウンディング”という言葉—群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語で、新しい製品・サービスの開発などをめざすクリエイターや起業家が、インターネットを通じて不特定多数の人から資金の出資や協力を募るしくみを指します。
2000年以降米国発で始まり、世界での市場規模は2013年で5100億円、2014年は1兆4000億円(予測)と急拡大。日本でも2013年の市場規模は約6億円に達したといわれます。
この11月4日、国内最大級のインターネットオークションサイト「ヤフオク!」と、電通子会社の「電通ソーシャル・デザイン・エンジン」が、リユースを通じて支援を行う新しい仕組みのクラウドファンディングサービス「reU funding」を開始しました。
「reU funding」は、使わなくなったモノを売ったり、プロジェクト実行者のモノを買ったりすることで生まれたお金で、賛同プロジェクトを支援できるシステム。循環型社会の実現に貢献しながらプロジェクトを支援できる点が、従来のクラウドファンティングとは異なる「三方よし」のしくみだといいます。
第1弾として、建替えのため2015年8月末に本館を閉じた老舗ホテルの「ホテルオークラ東京」がプロジェクトを活用しました。旧本館の客室やレストランで使用していたテーブルセットやソファーなどの家具を中心に300点以上を出品、その売上を困難な立場にあるこどもたちにオーケストラ教育を行っている団体「エル・システマジャパン」への支援に使うとのこと。目標金額の100万円に対し、すでに32倍以上の支援金が集まっているもようです。
単純なモノのリユースではなく、この場合であれば、「ホテルを愛好してきたお客さまさとの思い出の共有」と「こどもの音楽活動支援」という心理的・社会的価値を付加するところが特長です。モノの消費からコトの消費へ、消費のトレンドはすでにシフトしています。今後はさらに一方的に受け取る消費から自らが関与する参加型・イベント型の消費に人々の関心が高まってゆくでしょう。“リユースを通じて人の夢や未来を応援する新しい仕組みのクラウドファンディングサービス”との謳い文句が、どのように支持を広げていくのか…期待し、注目したいところです。

☞「reU funding」のサイト
http://reu.auctions.yahoo.co.jp/