後戻りできなくなる前に !

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後戻りできなくなる前に !
2019年の気象災害から温暖化を考えてみた

 2019年は大規模な気象災害が相次ぎました。とりわけ広範囲に被害をもたらしたのが令和元年台風19号でした。マーシャル諸島近海で発生し、南鳥島近海で台風ハギビスと命名されたこの台風は、海面水温30℃と平年よりも1℃以上高い海水温領域を通過しながら急速に発達。強い勢力を保ったまま本州に接近・上陸しました。北上しても勢力が大きく弱まることがなかった要因は、日本の南の海面水温も27℃と平年より1~2℃高く、台風がエネルギー源となる水蒸気を多く取り込んだためです。
各地で記録的な大雨となり、気象庁は10月12日午後から半日の間に、実に13もの都道府県に大雨特別警報を発表(特別警報の運用開始以来、最多の発表数)。多くの人々が「地球温暖化」を肌で感じることになった気象災害ではなかったでしょうか?
気候の変化やその影響はさまざまな計算モデルで予測されています。1972年に「成長の限界」を出版し、地球環境問題に警鐘を鳴らしたローマクラブ会員のヨルゲン・ランダース教授は、予測結果を見ると今まさに気候は「後戻りできない段階」に達しつつあるかもしれず、修復には何百年もかかるだろう、と述べています。たとえば南洋のサンゴ礁は、2年続けて海水温が高くなるだけで打撃を受け、元どおりになるのに600年を要するといいます。
さらに憂慮されるのは北極圏の気温上昇による温暖化の加速。気温上昇によりツンドラ地帯の永久凍土が溶けると、閉じ込められていたメタンが大気中に放出されます。メタンはCO2よりも温室効果が高いため気温はさらに上がり、より多くのメタンが出る悪循環に。すでに北極海沿岸からロシアの永久凍土地帯の南限までの距離は、産業革命前に比べて約5分の1縮んでいます。
12月2日から2週間の会期を延長して、スペイン・マドリードで開催された国連の温暖化防止会議COP25。産業革命前に比べて平均気温の上昇を2℃未満(できれば1.5℃)に抑える長期目標を掲げたパリ協定(2015年・COP21)の積み残しルールの議論は、すべての合意には至らず、一部が再び先送りされました。石炭火力の推進を非難されている日本は、対応を打ち出していません。COP25には、スウェーデンの16歳の環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんをはじめ世界の若者たちも参加し、大人たちに対策の強化を訴えていました。
ランダース教授によれば、仮に今年、温暖化ガスがゼロになったと仮定して計算しても、地球の気温は今世紀いっぱい上昇し続け、永久凍土は溶けてしまう。これがもし1970年ごろにゼロにしていたら、今が気温のピークで、100年かけて産業革命前の状態に戻り、その結果、永久凍土は残ったはず。つまり、永久凍土に関しては「後戻りできない段階」をすでに50年前に迎えてしまっていたというのです。
後戻りできなくなる前に! 何をしなければならず、何をしてはいけないのか。2020年も立ち止まることなく考え、行動に移してゆかなければと思います。