都市ごみ焼却灰から金や銀を回収

リサイクルトレンドウォッチ(78)
都市ごみ焼却灰から金や銀を回収
早稲田大学、太平洋セメントなどが実証実験

 携帯電話端末などの電子機器が都市鉱山と呼ばれ、さまざまな有用金属が回収されていることは周知のとおりですが、家庭などから出る一般ごみの焼却灰からも金や銀を回収するリサイクルの研究が進められています。
早稲田大学や太平洋セメントなどは、2018年3月から「都市ごみ焼却灰等からの貴金属回収実証実験」を始めていますが、予想以上に多くの貴金属が回収できることがわかってきた、と報じられました。
焼却灰から選別した粒径が2~4mmの原料に含まれる金の含有率は20PPM(PPMは100万分の1)の高さ。また銀も1500PPMと高い含有率だったといいます。
金鉱山で鉱石1トンから採れる金の量は平均すると3グラム程度とされ、含有率にすると3PPM。世界で最も高品質の金鉱山のひとつとされる日本の菱刈鉱山(鹿児島県)でも1トンあたり30~40グラム(30~40PPM)程度です。これに対し、携帯電話端末などの電子機器では多いと300PPMほどの金が含まれ、使わなくなった電子機器や廃家電から金などの貴金属を回収するリサイクルは事業化されています。しかし紙や生ごみなどの一般ごみを燃やした灰にこれだけ多くの貴金属が含まれているとは予想外だったといいます。
実証試験では、まず、径25mm以下の焼却灰をスクリーン(篩)でふるい分け、さらに風力を使って重量物と軽量物に選別。重量物を粒径ごとに6区分した後、エアテーブルであらためて重量物と軽量物に分け、さらに磁石につくものとつかないものに選別。残った磁石につかない焼却灰に多くの金が含まれていました。選別は風力や磁力など物理的な力だけを利用、化学薬品などは使わないため環境への悪影響も抑えられる手法です。
環境省も有用金属に着目した都市ごみ焼却灰の循環資源化のしくみの構築を検討しています。国内の廃棄物処理に焼却処理は不可欠ですが、年間400万トンの焼却残渣が発生しており、そこには重金属等が濃縮されています。焼却残渣からの鉄回収、セメント原料化、土木資材化などのリサイクルも行われていますが、現状では70%以上が埋立処分されており、循環型社会にふさわしい焼却残渣の資源化戦略が必要である、としています。

環境省 都市ごみ焼却残渣の循環資源化に関する研究報告はこちら☞
https://www.env.go.jp/policy/kenkyu/special/houkoku/data_h28/pdf/3K143007.compressed.pdf