多数の太陽光発電やEV、蓄電池を束ねて動かす「仮想発電所」

リサイクルトレンドウォッチ(71)
多数の太陽光発電やEV、蓄電池を束ねて動かす「仮想発電所」
さまざまな小規模分散エネルギー源、チリも積もれば大型発電所に

VPP=バーチャル・パワー・プラント、をご存じでしょうか? 「仮想発電所」と呼ばれますが、火力発電所や原子力発電所のように大規模なものではなく、広域に分散している多数の太陽光発電や風力発電、燃料電池やEV(電気自動車)の蓄電池など、小さなエネルギー源をまとめて電力系統への連系を通信技術により個別に制御し、まるで一つの発電所であるかのように利用するシステムのことです。
これまでの電力システムは、まず需要があり、需要量にあわせて供給を行うのが基本でした。しかし東日本大震災時の電力需給のひっ迫を契機に、従来の省エネだけでなく、電力の需給バランスを意識してエネルギー管理を行うことの重要性が強く認識されるようになりました。
一方で震災以降、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの導入が拡大。また家庭用燃料電池コージェネレーションや電気自動車、蓄電池など需要家側で導入される分散型のエネルギー源も多様化し普及が進みました。
工場や家庭などがもつ分散型エネルギー源の一つ一つは小規模ですが、それらを束ねれば一定の規模になるはず。それを可能としたのが、“モノのインターネット”といわれるIoT(Internet of Things)です。
個々の太陽光発電や燃料電池、蓄電池などのエネルギー源がインターネットにつながることで、それぞれの状態を確認でき、遠隔制御が可能になります。IoTを活用した高度なエネルギーマネジメント技術により、これらを束ね(アグリゲ―ション)、遠隔・統合制御することで、電力の需給バランス調整に活用することが可能になります。全体があたかも一つの発電所のように機能することから、冒頭のVPP=仮想発電所、と呼ばれるわけです。
太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーは出力変動が大きいことが課題でしたが、VPPにより供給過剰時には吸収、電力不足時に供給する負荷平準化が可能になります。また太陽光パネル、家庭用燃料電池、蓄電池などのシステムは、住宅、ビル、工場などの部分最適を想定して導入されていますが、VPPにより連携されることで電力系統にとっての全体最適が可能になります。
仮想発電所のサービスを担う事業者(アグリゲーター)には、電池メーカー、住宅メーカー、家電メーカー、通信事業者など、従来の電力事業者とかけ離れた異業種からの参入が相次いでいます。
VPPが広がれば、発電設備や蓄電池をもつ家庭や店舗、企業側にとっても、電気はただ消費するものではなく、アグリゲーターからの指令を受けて使用量を賢く制御し、電力取引市場に参加しながら報酬を得るものに変わっていくことでしょう。