ごみのパイプライン回収(管路回収)、横浜MM21地区でも廃止

リサイクルトレンドウォッチ(66)
ごみのパイプライン回収(管路回収)、横浜MM21地区でも廃止
分別・リサイクルが進み時代に合わなくなった“未来システム”

ランドマークタワーやホテル、国際会議場、商業施設などが立ち並ぶ横浜のMM21(みなとみらい21地区)。その地下に張り巡らされたパイプラインにより、巨大な掃除機のようにごみを吸い上げてきた横浜市の「廃棄物処理管路回収事業」が3月末で役目を終え、廃止されました。
このパイプラインによるごみ回収は、国のモデル事業として1983年に事業実施が決定され、91年からMM21地区でスタートしたもの。ごみは各施設に設置されたダストシュートから地下の貯槽へ。溜まったごみは空気を利用して直径50㎝の鉄製管路の中を時速100キロ近いスピードで飛び、クリーンセンターに集まるというしくみです。
ごみの排出がいつでも可能で、室内に溜めたり道路に出す必要がなく衛生・美観にも優れることから、横浜市が造船所跡地に整備する「未来都市の象徴」、「夢のシステム」ともいわれました。導入した当初は焼却炉でなんでも燃やした時代で、ほぼあらゆるものが管路に入ってきたとか。地区には商業施設やホテルなどが次々に建設され、最盛期は1年に363日も稼働して休む間もなくごみを吸い上げ続けたそうです。
しかし管路による収集量は、分別・リサイクルが進んだことにより、97年度の4543トンをピークに減少に転じました。管路延長も計7km程度と、当初計画の半分程度にとどまっています。
91年の開業時から管路回収を使ってきた国際会議場は、一方で早くからリサイクルにも力を入れ、2010年にはごみの100%リサイクルをめざして自施設内にクリーンエコセンターを立ち上げ、16年度のリサイクル率は94.4%を達成。地区内では同様にリサイクルに熱心な先進企業も多く、分別が進むほど収集車やトラックでの運搬が増大。2016年度の管路回収は800トンと、最盛期の2割弱に落ち込みました。
稼働継続には多額の設備更新が必要なことから、横浜市は2014年に廃止の方針を決定。システムはこのほど、その使命を終えました。
同様の管路回収システムは、1970年代から全国で稼働してきましたが、横浜市MM21のほか、多摩ニュータウン(東京都多摩市)、筑波研究学園都市(茨城県つくば市)など7ヵ所がこれまでにシステムを廃止。現在稼働しているのは、東京臨海副都心、幕張新都心(千葉県)、兵庫県芦屋市の一部など7ヵ所だそうです。
時代の流れが止めたごみのパイプライン。変わり続ける“静脈システム”のあり方を考えさせられるトピックでした。