EV化がもたらす自動車産業の大転換

リサイクルトレンドウォッチ(65)
EV化がもたらす自動車産業の大転換
エンジン車からEVへの移行で約4割の部品が不要に?

前回、ヨーロッパを筆頭とした「ディーゼル車からEVへ」の流れについてお伝えした直後の3月5日、トヨタ自動車が環境規制の厳しい欧州市場でディーゼルエンジン搭載乗用車の販売を2018年から段階的に縮小し将来的に廃止する方針を発表し、話題を呼びました。
昨年11月の東京モーターショーで各メーカートップが口々に語った「自動車産業はこれまでにない大きな変革期にある」という認識は、ますます現実味を帯びているように感じられます。
経済産業省の試算では、エンジン車からEVに移行すると部品点数は3万個から1万9000個へと減り、約4割の部品が不要になるそうです。なくなるのは、まずエンジン本体。そして大型部品の変速機。シリンダーブロック、シリンダーヘッドといった大型の鋳物から、ピストン、コンロッド、吸気バルブ、排気バルブ、点火プラグなど小さな部品まで含めると数千点に上ります。それ以外にもラジエター等の冷却系、オイルフィルター等の循環系、触媒などの排ガス浄化装置やマフラーなどの装備品もすべて不要になります。
エンジン車からEVへの転換が、各メーカーを頂点に1次、2次の協力メーカーまで100社以上に及ぶ系列のピラミッド構造をなしてきた自動車産業の姿を変えることは必至で、まさに“大幅な構造転換”と考えられる所以です。
2015年に採択されたCOP21・パリ協定では、CO2削減の取組みを実現するためには気温の2℃抑制が必要とされ、そのためには2050年に90%のCO2排出量の削減が必要とされています。デロイト トーマツ コンサルティングの試算*では、この目標を実現するには、世界全体の新車販売において2030年には4台に1台、2050年には全ての車が次世代車になる必要があるそうです。
国内では2030年の時点で、ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)などの電動車両が新車の半数を占めているともされ、この時期にはこれまでの自動車メーカーの差別化要因であった燃費技術はもはや当たり前となっているといわれます。

*デロイト トーマツ コンサルティング 『モビリティー革命2030 自動車産業の破壊と創造』では、自動車産業を覆う大きな変革の波として、以下の3要因があげられている。
1) CO2排出抑制の要請からくるEV化などパワートレインの変化
2) カーシェアやライドシェアによるシェアリングの加速
3) IoTやAIによるモビリティーサービスへのシフト