微小な音や振動を集めて発電する「エネルギーハーべスティング」

リサイクルトレンドウォッチ(63)
微小な音や振動を集めて発電する「エネルギーハーべスティング」
IOT(モノのインターネット)のセンサー電源への活用に、注目度高まる

列車通過時の振動や空中を飛ぶ電波など、身の回りで活用されていない希薄なエネルギーを集めて発電する「環境発電」の研究が加速しています。この技術は、環境から微小なエネルギーを収穫(ハーベスト)して電力に変換することから、「エネルギーハーベスティング」とも呼ばれます。
使われるのは、光・熱(温度差)・音・振動・電波など、環境中にさまざまな形で存在するエネルギー。これらを圧電素子や太陽電池を利用して電力に変換する発電技術で、配線や充電・取り替え・燃料補給が要らず、長期間エネルギー供給できる電源であることが大きな利点です。
「エネルギーハーベスティング」の技術自体は、実は昔からあったもの。電波のエネルギーで音を出す「鉱石ラジオ」はその最も古い例のひとつ。1970年代に登場した太陽光や腕の動きで充電する腕時計や電卓なども、電池交換が不要なエネルギーハーベスティング電源を内蔵したモバイル機器です。
現在では、太陽電池を内蔵した携帯電話やネットブック、電子ブックリーダー、外付けの充電器など多くのエネルギーハーベスティング製品が販売されています。
とりわけいま、身の回りのさまざまな機器がネットにつながる “IOT(モノのインターネット)”の概念が登場したことで、エネルギーハーベスティングへの注目がにわかに高まっています。あらゆるモノをインターネットに接続し情報を活用するためには、全てのモノに無線センサーが必要で、その電源として「エネルギーハーベスティング」が有望視されているからです。
鉄橋を通過する列車の振動で発電した微弱電流で稼働する異常監視センサー、人が歩く振動で発電する発電床にLED照明を取り付けた歩行者誘導マット、リモコンを押す力で自ら発電して必要な電力をまかなう温水洗浄便座など、試験段階からすでに実用化されたものまで、「エネルギーハーベスティング」の可能性はさまざまな分野に広がっています。
米調査会社ウィンターグリーン・リサーチの推計によると、2019年の「エネルギーハーベスティング」市場規模は、発電デバイスだけで42億ドル(約5000億円)に達する見通しとか。
家電や車、オフィスや街、道路、田畑など、あらゆるところに置かれた膨大な数のセンサーが、身の回りの小さなエネルギーを利用したメンテナンスフリーの「環境発電」で稼働。人の健康や安全、交通や産業に必要なデータを集めて暮らしや社会に活用される。そんなIOT社会の訪れは意外に早いのかもしれません。