眠れる「森林資源」を活かす道は? (上)

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眠れる「森林資源」を活かす道は? (上)
日本の森林蓄積は、年々増加している

阿修羅像などで知られる奈良の興福寺(世界遺産寺院)で、710年に建てられた中金堂の復元が、2018年の落慶をめざして進められています。中金堂は興福寺の中心となる重要なお堂ですが、藤原不比等による710年の創建以来、7度も火災により焼失、その度に再建されてきました。江戸時代に仮再建されたものが老朽化により2000年に解体され、創建1300年を迎えた2010年から当時の姿の復元をめざして日本建築の伝統的な木工技法で再建が進んでいるものです。
さて、再建工法は日本の伝統様式ながら、建物を支える66本の柱に使われているのは、アフリカ産のアパという直径2メートルにもなる巨木。梁などにはカナダ産のヒノキが使われています。樹齢200年を超えるような巨木は、残念ながら日本ではほぼ手に入らないためだそうです。
日本の森林面積は2500万ヘクタール。国土に占める森林面積の割合は68.5%で、OECD加盟国の中ではフィンランド(73.1%)に次ぐ2位となり、スウェーデン(68.4%)を上回っています(FAQ・2015年調査による)。しかし、戦後復興期には6000万㎥にも達していた木材生産量は、今では1800万㎥に過ぎず、戦後9割を超えていた木材自給率も現在は2割以下にまで落ち込んでいます。
なぜ、日本の林業がこれほどまでに衰退してしまったのか? よく指摘されるのが「安い外材が日本の林業をダメにした」という説です。戦後、復興のための木材需要が高まり、年間40-50万ヘクタールのペースで日本中の山や草地にスギやヒノキが植えられました。こうした人工林は、現在の日本の森林面積の約4割を占めています。しかし、高度成長期にはこれらの植林が未だ育っていなかったため、日本は1960年に木材輸入の自由化をスタート。1964年に完全自由化されたことで、大量に安定供給できる外材が市場を席巻し、国産材の供給量は低下の一途をたどりました。
日本の森はいま、新たな局面を迎えています。というのも、かつて大量に植林されたスギやヒノキが一斉に伐採期を迎えているからです。森林で生育する樹木群は時とともに絶えず変化しています。この40年で森林面積は変わりませんが、樹木の体積を示す蓄積量は、40年前の20億㎥から大きく増えています。
林野庁が1999年から実施している「森林資源モニタリング調査」によれば、第1期(1999~2003)調査から推計される全国の森林蓄積量(皮付の幹の体積)は52億㎥でしたが、第2期(2004~08)調査では60億㎥に達しました。40年前のおよそ3倍の水準です。
世界有数の貴重な宝、日本の森林資源を、有効に活かす手立てはないものか? いま注目されるアプローチについて、次回ご紹介します。