OECD鉄鋼委員会、中国も参加の「グローバルフォーラム」を設置

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OECD鉄鋼委員会、中国も参加の「グローバルフォーラム」を設置
長びく鉄鋼の過剰生産、チャイナリスク解消への一歩となるか?

経済協力開発機構(OECD)が8、9日にパリで鉄鋼委員会を開き、世界的な鉄鋼の過剰生産の解消に向けた協議の場を設けることで合意した、と日経新聞が報じました。今回の鉄鋼委員会にはOECD非加盟の中国やインドも招待国として参加。新たに設ける協議の場、「グローバル・フォーラム」は中国が加盟しないOECDとは切り離し、各国が対等な立場で議論する独立した会議体にすることを確認しました。
世界の鉄鋼過剰生産能力は2015年についに7億トンを超えました。日本の粗鋼生産量(1億トン強)の約7倍に相当する数字です。7億トン超のうち約4.3億トンが中国分(米国鉄鋼協会の見解)であるとされます。中国は経済の減速が鮮明になる中、内需で消費できない鋼材を国外へ安値で輸出。これが鋼材の国際市況を暴落させ、世界の鉄鋼メーカーを疲弊させています。生産量で世界首位のアルセロール・ミタルや、日本勢のライバルである韓国大手のポスコも15年12月期は最終赤字に沈んだほどで、インドのタタ製鉄は英国事業の売却検討を表明しています。
中国製品は高品質の日本製品とはそれほど競合せず、日本メーカーの打撃は比較的小さいとされてきましたが、やはり対岸の火事とはいかず、輸出採算の悪化、中国製品に押し出された韓国・台湾製品の日本市場への流入など、チャイナ・リスクの影響はじわじわと広がっています。
中国には町工場レベルを含めると約500社の鉄鋼メーカーが存在。年産3000万トン以上のメーカーは6社ですが、上位メーカーへのシェア集中は一向に進まず、乱立状態が続いています。自国メーカーの半分は赤字とされるだけに、中国政府も再編の必要性は認識しており、2015年まで10ヵ年続いた「鉄鋼産業発展政策」に代わる「調整計画」を打ち出しました。しかし雇用や税収を維持したい地方政府の抵抗にあうなど、中国特有の事情から、足踏みが続いています。
そうした中で設立された「グローバル・フォーラム」。日米欧の先進国に加え、中国やインドが参加する枠組みの中で、各国の生産量や設備能力の情報を共有する体制をいかに整えるのか、各国が補助金などで競争をゆがめる措置を取りやめられるのか、などが議題になります。年内にも開かれる見通しの第1回会合を、まずは注視したいものです。