鉄イオンの力で持続可能な海をとり戻す

リサイクルトレンドウォッチ(79)
鉄イオンの力で持続可能な海をとり戻す
鉄鋼スラグで「磯焼け」をストップ! 藻場を復活

 地表の約7割が水で覆われている地球は、「水の惑星」といわれます。地球全体の水の約97%を占めるのが海。その海の中でもとりわけ生物にとって重要な場所は、淡水と海水が混ざり合う汽水域や沿岸域に広がる海草・海藻で形成された藻場です。藻場は水中のさまざまな生物の隠れ場所や産卵場所になるだけでなく、海藻や植物プランクトンが行う光合成によって二酸化炭素を吸収し、水の浄化や海中に酸素を供給する役割も果たしています。
ところがいま日本では、こうした藻場が大規模に消失する「磯焼け」呼ばれる現象が全国各地で発生し、“海の砂漠化”が進行しています。原因として温暖化による水温上昇や、ダム建設等による沢水や流域水の減少など、複合的な要素が指摘されますが、なかでも“森と海のつながり”から特に注目されているのが「生態系の鉄不足」です。
海藻や植物プランクトンにとって鉄は、窒素、リンなどのミネラルと同様、生きるための必須元素。しかし植物が利用できる鉄は、鉄イオンだけです。鉄は酸化しやすく(赤サビ)、酸化すると水に溶けにくい鉄粒子となって沈殿してしまい、植物が利用することはできません。
植物に利用可能な鉄イオンを海に届けているのが、「フルボ酸鉄」という物質です。自然界では、山の落ち葉や枝が腐食するときにフルボ酸が生じ、それが土壌や水中の鉄と反応してフルボ酸鉄がつくられます。森の腐葉土がつくるフルボ酸鉄は、雨によって川から海へと運ばれ、海藻や植物プランクトンに届けられてその重要な栄養源になってきました。フルボ酸鉄はまた、ヘドロ化した干潟など、閉鎖水域の浄化にも役立っています。
しかし現在では、内陸部では都市化が進み、河川源流部ではダムが建設され、下流域では河川の護岸改修が行われるなどして、フルボ酸鉄は海まで流れ出にくくなりました。生態系が鉄欠乏の状態となり、かつてのような自然浄化システムが機能しなくなってしまったのです。
こうした藻場の衰退に歯止めをかけようと注目されているのが、水中に鉄イオンを供給する技術。そこで使われているのが、製鉄の工程で発生する鉄鋼スラグです。
北海道増毛町では2003年頃から製鉄メーカー、大学、漁協などが協同し、鉄鋼スラグと腐植物質を混合した施肥ユニットを海岸の汀線に埋め、藻場を再生する実証プロジェクトが行われてきました。その結果、海藻群落が繁茂し、一面が真っ白な海焼け状態だった海底にもコンブなどが豊かに生育。実験の成功を受けて、同様のプロジェクトは各方面・地域に拡大。最近では鉄鋼スラグ漁礁による海洋環境修復実証なども行われるようになっています。
路盤材やコンクリート骨材、護岸工事などの土木分野で主に使われてきた鉄鋼スラグ。今後は、海の再生と豊かさの循環をサポートする、環境資材としての活躍場面も多くなりそうです。

都市ごみ焼却灰から金や銀を回収

リサイクルトレンドウォッチ(78)
都市ごみ焼却灰から金や銀を回収
早稲田大学、太平洋セメントなどが実証実験

 携帯電話端末などの電子機器が都市鉱山と呼ばれ、さまざまな有用金属が回収されていることは周知のとおりですが、家庭などから出る一般ごみの焼却灰からも金や銀を回収するリサイクルの研究が進められています。
早稲田大学や太平洋セメントなどは、2018年3月から「都市ごみ焼却灰等からの貴金属回収実証実験」を始めていますが、予想以上に多くの貴金属が回収できることがわかってきた、と報じられました。
焼却灰から選別した粒径が2~4mmの原料に含まれる金の含有率は20PPM(PPMは100万分の1)の高さ。また銀も1500PPMと高い含有率だったといいます。
金鉱山で鉱石1トンから採れる金の量は平均すると3グラム程度とされ、含有率にすると3PPM。世界で最も高品質の金鉱山のひとつとされる日本の菱刈鉱山(鹿児島県)でも1トンあたり30~40グラム(30~40PPM)程度です。これに対し、携帯電話端末などの電子機器では多いと300PPMほどの金が含まれ、使わなくなった電子機器や廃家電から金などの貴金属を回収するリサイクルは事業化されています。しかし紙や生ごみなどの一般ごみを燃やした灰にこれだけ多くの貴金属が含まれているとは予想外だったといいます。
実証試験では、まず、径25mm以下の焼却灰をスクリーン(篩)でふるい分け、さらに風力を使って重量物と軽量物に選別。重量物を粒径ごとに6区分した後、エアテーブルであらためて重量物と軽量物に分け、さらに磁石につくものとつかないものに選別。残った磁石につかない焼却灰に多くの金が含まれていました。選別は風力や磁力など物理的な力だけを利用、化学薬品などは使わないため環境への悪影響も抑えられる手法です。
環境省も有用金属に着目した都市ごみ焼却灰の循環資源化のしくみの構築を検討しています。国内の廃棄物処理に焼却処理は不可欠ですが、年間400万トンの焼却残渣が発生しており、そこには重金属等が濃縮されています。焼却残渣からの鉄回収、セメント原料化、土木資材化などのリサイクルも行われていますが、現状では70%以上が埋立処分されており、循環型社会にふさわしい焼却残渣の資源化戦略が必要である、としています。

環境省 都市ごみ焼却残渣の循環資源化に関する研究報告はこちら☞
https://www.env.go.jp/policy/kenkyu/special/houkoku/data_h28/pdf/3K143007.compressed.pdf

2018年に輸出入された「特定有害廃棄物」、日本からの輸出は半減

リサイクルトレンドウォッチ(77)
2018年に輸出入された「特定有害廃棄物」、日本からの輸出は半減
バーゼル法の施行状況(2018年実績)を、環境省・経産省が公表

5月28日、環境省と経済産業省は、処分またはリサイクルを目的とした電子部品スクラップなど有害廃棄物の輸出入を規制するバーゼル法で規定する特定有害廃棄物等の輸出入の状況について、2018年の実績をまとめ公表しました。
2018年1月~12月に、バーゼル法の規定する手続を経て、実際に日本から輸出された特定有害廃棄物等の件数は626件(2017年比約48.0%減)、総量は215,890トン(同比約13.3%減)。また、日本に輸入された特定有害廃棄物等の件数は858件(同比約7.7%増)、総量は27,910トン(同比約37.1%増)でした。(輸出入の件数・総量は、移動書類の交付件数・交付数量の合計による)
特定有害廃棄物等の輸出で、移動書類が交付された案件の主な品目は、鉛スクラップ(鉛蓄電池)、石炭灰、錫鉛くずなど、金属リサイクルを目的とするものでした。主な輸出先は、韓国、ベルギーとなっています(2017年の主な輸出先は、韓国、香港、ベルギー)。
一方、輸入では、移動書類が交付された案件の主な品目は、電子部品スクラップ、電池スクラップ(ニッケルカドミウム、ニッケル水素、リチウムイオン等)金属含有スラッジなどで、主な輸入元は、台湾、フィリピン、タイとなっています(2017年の主な輸入先は、台湾、タイ、香港、フィリピン)。

改めて・・バーゼル法の制定・改正から今日まで

バーゼル法の正式名称は「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律」。有害廃棄物の越境移動及びその規制について国際的な枠組みを定めたバーゼル条約を履行するためにつくられた国内法で、1992年12月に制定されました(1993年12月施行)
しかし、法制定から四半世紀が経過し、非鉄金属など二次資源の国際取引の増大したことから課題点が浮上。例えば輸出では、雑品スクラップの不適正輸出や輸出先国からの不法取引通報(シップバック要請)の増加や、使用済鉛蓄電池などの輸出先での環境上不適正な取扱い事案が発生。また輸入においては、有用金属を含む廃電子基板などの国際的な資源獲得競争激化を受け、国内事業者から、競争上の不利につながる煩雑な輸入手続きを緩和すべきとの要望が挙がっていたことなどを背景に、2018年10月に改正バーゼル法が施行されました。これにより、「特定有害廃棄物」が省令に明記され規制対象物が明確になるとともに、より厳しい管理が適用され、今日に至っています。
この間、海外の廃棄物を資源として受け入れてきた中国は、2017年末の廃プラスチック輸入禁止に続き、雑品スクラップの受入れを2018年12月で全面禁止。日本では、小型家電等を含む非鉄複合物や非鉄金属の国内における適正なダスト処理への要請が高まっている状況です。
さらに、この4月末からスイスで開かれていたバーゼル条約第14回条約国会議(COP14)では、リサイクル資源として扱われてきた汚れた廃プラスチックが、新たにバーゼル条約規制対象となることが決定。2020年1月には条約改正が発行となります。

環境省:特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律の施行状況(2018年)について☞ http://www.env.go.jp/press/106826.html

飲食店のフードシェアサービス、消費者に好感

リサイクルトレンドウォッチ(76)
飲食店のフードシェアサービス、消費者に好感
640万トン/年の食品ロス削減に向け、取り組み広がる

SDGs(持続可能な開発目標)のひとつにあげられている「食品ロスの削減」。日本の現状はどうなっているのでしょうか。
環境省と農林水産省の推計によれば、2015年度に2,842万トンの食料が食品廃棄物等として廃棄やリサイクルによって処理されています。ここから食品残渣(かす)をのぞいた数字=食べられるのに食べられなかったいわゆる食品ロスは646万トン。同じ年に国連世界食糧計画が7,670万人に支援した食糧の約2倍に匹敵するそうです。内訳は、家庭から289万トン、食品関連産業から357万トンとなっています。
食品関連産業から出る食品ロスの大半は食品製造業と外食産業から発生するもので、その量は製造業が140万トン、外食産業が133万トンとほぼ同量。しかし、残渣を含む食品廃棄物等全体に占める食品ロスの割合でみると、生産効率化が進む食品製造業では食品ロスは8.4%ですが、外食産業では実に66.5%と高い割合になっています。
こうしたなか、最近マスコミなどでもとりあげられ話題になっているのが、フードロスの削減につながる「フードシェアリングサービス」。大きく店舗訪問型と、ネット通販型に分けられますが、いずれもスマホアプリなどを活かしタイムリーかつ安価にサービスを提供することで、消費者の人気を呼んでいます。
店舗訪問型では、シエアサイトに登録する飲食店が、その日に予約キャンセルが出た料理などを出品。利用者はスマホアプリなどで一覧を見て注文し、店舗から持ち帰ったり、店内で飲食したりできます。月額の定額料を払う方式や、購入ごとに支払う方式がありますが、いずれも割安に食事を楽しめると、若いビジネスパーソンなどから人気が広がっているそう。主に都市部で展開されています。
一方、エリアを問わないネット通販型では、賞味期限が近い食品やサプリメントなどが出品され、プロモーション用の新商品などをお試しできるサイトもあります。
食品ロスを減らす消費者や企業の取り組みは加速しており、滋賀県で2017年から「三方よし!!でフードエコプロジェクト」が始まるなど、自治体にも動きが広がっています。
国民1人1日茶わん1杯弱(約140g)を無駄にしているフードロス。過度に鮮度を重視したり、野菜などの皮を必要以上に剥いたり、食材をうっかり腐らせたり、食べ残したり・・・毎日の習慣を改めて見直して、できる取り組みから始めたいものです。

2019年 SDGsのトレンド(下)

リサイクルトレンドウォッチ(75)
2019年 SDGsのトレンド(下)
持続可能な開発のために、ナマケモノにもできるアクション・ガイド

国連のSDGs「持続可能な開発目標」は、世界を変えるための壮大な目標で、その実現には世界が力を合わせることが必要、とされています。「とても自分が関わることのできる話ではないような気がするかもしれませんが、あなたはただあきらめますか?」 との問いかけとともに、国連広報センターは「ナマケモノにもできるアクション・ガイド」を公表しています。以下は、アクションガイドの一部です。

レベル1:ソファに寝たままできること
・電気機器は電源タップに差し込んで使用。使わないときは電源オフにし待機電力を減らそう
・請求書が来たら、銀行窓口でなく、オンラインかモバイルで支払おう
・印刷はなるべくしない。手書きメモやデジタル付箋で紙を節約しよう
・照明はなるべく消そう。TVやコンピュータの画面は意外に明るい
・持続可能で環境にやさしい取り組みをしている会社の製品を買うようにしよう

レベル2:家にいてもできること
・ドライヤ-や乾燥機を使わずに髪や衣類は自然乾燥に。洗濯機は容量をフルにして使おう
・バスタブに比べ水を節約できる短時間のシャワーを利用しよう
・生鮮品や残り物、食べきれないときは早めに冷凍しよう
・生ごみから堆肥をつくろう。気候への影響を減らし、栄養物の再利用につながる
・紙、プラスチック、ガラス、アルミのリサイクルを徹底。買うときは簡易包装の品物を選ぼう
・窓やドアの隙間をふさいでエネルギー効率を高めよう。エアコンは冬は低め、夏は高めの温度設定に
・古い電気機器を使っていたら、省エネタイプの機種や電球に交換しよう
・食洗機を使うときは、あらかじめ皿を水洗いしないで

レベル3:家の外でできること
・買い物は地元で。地域企業を応援でき、長距離輸送も減らせる
・訳あり品を買おう。大きさや形、色が規格外のために捨てられてしまうものを減らせる
・詰め替え可能なボトルやカップを使おう
・買い物にはマイバックを持参。レジ袋は断ろう
・ビンテージものを買おう。中古品の中にもよいものがたくさんある
・使わないものは寄付しよう。大事にしていた衣服や本、家具に新しい命を

「持続可能な開発のために、ナマケモノにもできるアクション・ガイド」詳細はこちら☞https://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/24082/

2019年 SDGsのトレンド(上)

リサイクルトレンドウォッチ(74)
2019年 SDGsのトレンド(上)
持続可能な開発目標—日本版SDGsアクションプランから

国連が定めたSDGs「持続可能な開発目標」について見聞きする機会が増え、2019年はSDGsが企業経営や地方創生、教育など多様な分野で大きなトレンドになりそうです。
SDGs(Sustainable Development Goals)は、2015年9月の国連サミットで採択された2030年までの開発目標。持続可能な社会をつくるために、世界が抱える問題を17の目標(ゴール)と169のターゲットに整理したものです。17のゴールには、貧困や保健、教育、エネルギー、気候変動、持続可能な都市・産業、海洋環境・資源などが掲げられています。
日本版としては2018に続き、昨年末に「SDGsアクションプラン2019」が公表され、8分野における実施方針(優先課題)が示されました。8つの優先課題のうち、当社事業領域にかかわりの深いものとしては、以下のような項目があります。

優先課題⑤ 省エネ・再エネ、気候変動対策、循環型社会
・リサイクルシステム統合強化—都市鉱山と呼ばれる我が国の資源の有効利用の最大化
・地域のエネルギーセンターとしての廃棄物処理施設の整備
・食品ロス削減、食品リサイクルの促進、食品廃棄物等リデュース・リサイクルの推進
・3Rの国際協力—アジアを中心とした各国の3Rや廃棄物管理の制度整備
優先課題⑥ 生物多様性、森林、海洋等の環境の保全
・化学物質対策—フロン排出抑制法等に係る法執行の関連業務
・マイクロプラスチックを含む海洋プラスチックごみ対策の推進
・海洋プラスチックごみ対策に関する産業界の取組の促進イノベーションフォーラム
・農林水産・食品産業におけるプラスチック資源循環の促進

また、広島県は国が選定した29のSDGs未来都市のひとつとなっています。
当社は、マテリアルリサイクル技術で都市鉱山から資源を再生することで、地球温暖化防止や循環型社会の構築に貢献することを目指しています。これは、SDGsの目的である持続可能な社会の実現につながるものでもあり、17のゴールと、167のターゲットを、改めて日々の事業に照らしてみつめてみたいと考えています。

日本のSDGsモデル SDGsアクションプラン2019についてはこちら☞https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sdgs/pdf/actionplan2019.pdf

※次回は暮らしの中で一人ひとりができるSDGsのアクションガイドを取り上げます。

中国ショックから1年、廃プラスチック問題はいま

リサイクルトレンドウォッチ(73)
中国ショックから1年、廃プラスチック問題はいま
日本は2030年までに使い捨てプラ25%削減へ向け、官民の動き加速

2017年末、廃プラスチックを資源として世界から受け入れてきた中国が、「海外ゴミの輸入を厳しく禁じる」(李克強首相)と受入れストップに転じてから1年。世界に衝撃を与えた廃プラスチック問題の行方は、未だ判然としません。
これまでヨーロッパ、アメリカ、日本などから資源として中国に輸出されてきた廃プラスチックの量は年間約1000万トン。世界の工場として成長してきた中国は、国内の原材料不足を補うため、石油よりはるかに安い廃プラスチックを集め、ペレット(小さな粒)に加工して文具や衣料品などを生産してきました。
中国が1992年から2016年までの廃プラスチックの全世界輸入量の45%を占める輸入大国であったことから、この中国ショックは世界を揺るがし、廃プラスチックの貿易構造に大きな影響を与えたのです。日本でも、事業系の廃プラスチック(飲食店、コンビニ、工場などから排出されるもの)のほとんどは中国に輸出され、その量は年間およそ150万トンに及んでいました。
中国に代わる輸入先候補として注目されたのは東南アジア各国ですが、2018年現在、マレーシアとタイで運用ベースの輸入禁止、ベトナムでは運用ベースで輸入制限の措置がとられ、ラオスでも検討の動きがあるなど、廃プラスチックの輸入・利用規制は厳格化しつつあります*1。
国連環境計画(UNEP)によると、プラスチックごみの廃棄量は年々増加傾向にあり、2015年には3億トンに。このうち47%を、ペットボトルやレジ袋などの使い捨てプラスチック容器包装が占めています。プラスチック容器ごみの総廃棄量(2014年)は中国が世界1位ですが、人口1人あたりの廃棄量では、日本は世界最多のアメリカに次ぐ2位で、3位のEUを上回ります。
深刻な海洋汚染をもたらしている使い捨てプラスチックについて、UNEPは禁止や課金などの対策を各国に要請しました。世界の多くの国で進むレジ袋規制などの対策に遅れをとっていることもあり、環境省はレジ袋の有料化義務付けを含む使い捨てプラスチックの削減戦略案を打ち出し、使い捨てプラスチックの排出量を2030年までに25%減らす目標を定めました。あわせて、植物などを原料とするバイオプラスチックの国内利用量を13年度の7万トから2030年までに約200万トンに拡大、発電や廃熱利用も含め35年までにプラスチックごみを100%有効利用*2するなどを掲げています。
こうした動きに、飲料や食品メーカー、流通業界、外食業界などからも素早い対応が見られます。コーヒーチェーンのプラスチックストロー廃止や、スーパーのレジ袋有料化など、消費者の目にも明らかになり始めたプラスチック削減の動き、来年はますます加速していくことになりそうです。

*1 ASEAN各国における廃プラスチック輸入規制についてはこちら☞  https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2018/87f587bf7c717578.html

*2 一社)プラスチック循環利用協会によると、2016年の日本のプラスチックリサイクル率は84%。内訳は、マテリアルリサイクル23%、ケミカルリサイクル4%、サーマルリサイクル57%で、未利用16%。

世界の資源利用は60年までに倍増、環境に深刻な影響を及ぼす

リサイクルトレンドウォッチ(72)
世界の資源利用は60年までに倍増、環境に深刻な影響を及ぼす
OECD
「2060年までの世界物質資源アウトルック」を公表

OECD(経済協力開発機構)は22日、世界の資源循環を分析した「2060年までの世界物質資源アウトルック」(プレビュー版)を公表しました。報告書によると、世界の人口が急増して100億に達し、一人当たりの所得平均も現在のOECD諸国の水準である4万米ドルに近づくため、資源消費が増加。世界の金属や化石燃料などの原材料資源利用量は2011年の79ギガトン(ギガは10億)から2060年には167ギガトンへ、約2倍になると予測しています。
産業が製造業からサービス業に徐々にシフトし、製造業の効率が継続的に改善してGDP1単位当たりの資源消費量が減少しているにもかかわらず増加しているのが現状で、具体的な対策を立てないと大気、水質、土壌の汚染、汚濁が悪化し、気候変動にも深刻な影響を及ぼす、と警告しています。
資源消費量が最も増加するのは、特に急成長している開発途上国で消費される建築資材と金属を含む鉱物。砂、砂利、石灰石、砕石といった非金属鉱物は、今日消費される資源のギガトン単位で半分以上を占めており、他の資源と合わせると、1日に平均的な家庭が消費する資源の量は、浴槽1つ分に相当。この量は、これから2060年まで増加の一途をたどると見られています。
リサイクル業は成長しているものの、対GDP比で現在は鉱業部門の10分の1の規模にとどまっており、各国にその育成を急ぐよう促しています。
本報告書では、7種類の金属(鉄、アルミニウム、銅、亜鉛、鉛、ニッケル、マンガン)と3種類の建築資材(コンクリート、砂、砂利)の地球環境への影響を分析。これらの金属と鉱物のうち、1キロ当たりの環境影響が最も大きいのが銅とニッケルで、環境への絶対的影響が最も大きいのは利用量が多い鉄鋼、コンクリートであるとしています。
化石燃料などの利用は一段と増える見通しで、それに伴って二酸化炭素(CO2)の排出も増加。新たな排出削減政策を導入しない限り、資源管理から排出される温室効果ガスの排出総量は、CO2換算で現在の28ギガトンから、2060年までに50ギガトンに達すると見られています。

OECD「2060年までの世界物質資源アウトルック」はこちら☞
http://www.oecd.org/tokyo/newsroom/raw-materials-use-to-double-by-2060-with-severe-environmental-consequences-says-oecd-japanese-version.htm

 

 

 

多数の太陽光発電やEV、蓄電池を束ねて動かす「仮想発電所」

リサイクルトレンドウォッチ(71)
多数の太陽光発電やEV、蓄電池を束ねて動かす「仮想発電所」
さまざまな小規模分散エネルギー源、チリも積もれば大型発電所に

VPP=バーチャル・パワー・プラント、をご存じでしょうか? 「仮想発電所」と呼ばれますが、火力発電所や原子力発電所のように大規模なものではなく、広域に分散している多数の太陽光発電や風力発電、燃料電池やEV(電気自動車)の蓄電池など、小さなエネルギー源をまとめて電力系統への連系を通信技術により個別に制御し、まるで一つの発電所であるかのように利用するシステムのことです。
これまでの電力システムは、まず需要があり、需要量にあわせて供給を行うのが基本でした。しかし東日本大震災時の電力需給のひっ迫を契機に、従来の省エネだけでなく、電力の需給バランスを意識してエネルギー管理を行うことの重要性が強く認識されるようになりました。
一方で震災以降、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの導入が拡大。また家庭用燃料電池コージェネレーションや電気自動車、蓄電池など需要家側で導入される分散型のエネルギー源も多様化し普及が進みました。
工場や家庭などがもつ分散型エネルギー源の一つ一つは小規模ですが、それらを束ねれば一定の規模になるはず。それを可能としたのが、“モノのインターネット”といわれるIoT(Internet of Things)です。
個々の太陽光発電や燃料電池、蓄電池などのエネルギー源がインターネットにつながることで、それぞれの状態を確認でき、遠隔制御が可能になります。IoTを活用した高度なエネルギーマネジメント技術により、これらを束ね(アグリゲ―ション)、遠隔・統合制御することで、電力の需給バランス調整に活用することが可能になります。全体があたかも一つの発電所のように機能することから、冒頭のVPP=仮想発電所、と呼ばれるわけです。
太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーは出力変動が大きいことが課題でしたが、VPPにより供給過剰時には吸収、電力不足時に供給する負荷平準化が可能になります。また太陽光パネル、家庭用燃料電池、蓄電池などのシステムは、住宅、ビル、工場などの部分最適を想定して導入されていますが、VPPにより連携されることで電力系統にとっての全体最適が可能になります。
仮想発電所のサービスを担う事業者(アグリゲーター)には、電池メーカー、住宅メーカー、家電メーカー、通信事業者など、従来の電力事業者とかけ離れた異業種からの参入が相次いでいます。
VPPが広がれば、発電設備や蓄電池をもつ家庭や店舗、企業側にとっても、電気はただ消費するものではなく、アグリゲーターからの指令を受けて使用量を賢く制御し、電力取引市場に参加しながら報酬を得るものに変わっていくことでしょう。

日本の暮らしは地球2.9個分

リサイクルトレンドウォッチ(70)
日本の暮らしは地球2.9個分
消費を測る環境のものさし、“エコロジカル・フットプリント”

「70億人が暮らす地球で、もし世界中の人々が日本人と同じ暮らしをしたら、地球2.9個が必要」—–人間の活動が地球環境に与える負荷の大きさを測る、“エコロジカル・フットプリント”というものさしが示した数字です。
エコロジカル・フットプリントは、人間活動が地球環境に与える「負荷」の大きさを測る指標。1991年にカナダのブリティッシュコロンビア大学の研究者が構築したもので、「人間活動が地球環境を踏みつけにした足跡」を意味しています。
「私たちの生活は地球の大地に依存している。ではその暮らしを支えるためにどれだけの大地が必要かを計算してみよう」という発想から考案されたそう。食料やエネルギーなど、単位の違うものを統一的に扱えるように、すべてを耕作可能な農地、木材を得る森林、水産資源をとる海、CO2吸収のために必要な森林など、陸や水域の面積に置き換えて合計。人間が利用した面積としてgha(グローバルヘクタール)という独自の単位であらわします。その結果、この数値は、ある特定の地域の人々が消費する資源を再生し、社会・経済活動から発生するCO2を吸収するのに必要な生態系サービスの総量を示すことになります。
世界平均のエコロジカル・フットプリントが2.9ghaであるのに対して、日本人の平均は5.0gha/人。世界の38番目で、G7のフランスや英国とほぼ同水準ですが、インドに比べると4.7倍の大きさです。
日本の生活の中で地球に負荷を与えている分野は、交通21%、食27%、住居・光熱費27%となっています。また農地、森林、牧草地、漁場などへの負荷に比べて、二酸化炭素排出の負荷が圧倒的に多く、全体の74%を占めています。
自然資源を、自然が本来もつ力の範囲内で利用するなら、持続可能な生活が成り立つはず。自然の再生スピードを超えて消費すれば、自然資本は減少に向かいます。これはいわば、銀行預金の元本を取り崩して生活しているようなもの。
1970年代以降、人間の資源に対する需要は、1年間に地球が供給できる量を超過するオーバーシュートの状態に。その結果、気候変動、漁業資源の減少、森林破壊などの今日的な環境問題が生じています。
エコロジカル・フットプリントを減らすためには、選=持続可能な方法で生産された認証品を選んで購入する、減= CO2排出量や食品ロスを削減する、新=再生可能エネルギーの創出・拡大などの新技術を応援する、などの取り組みが必要といわれます。
豊かさを分かち合いつつ、地球をパンクさせないように、地球1個分の暮らしをすること。そのために何ができるかを、生活レベルで探していきたいと思います。

日本のエコロジカル・フットプリント2017(最新版)はこちら ☞
https://www.wwf.or.jp/activities/lib/lpr/20180825_lpr_2017jpn.pdf